最前線の腎不全治療について新書で学びました

糖尿病や高血圧が原因で腎不全を併発する患者さんが増えている事実を御存知でしょうか。
一見すると関係のない病気ですが、実は全身の大小の血管にダメージを与える点で病態は似通った側面があります。
腎機能は一旦廃絶すると、数日おきの人工透析を行わないことには生命を維持することはできないそうです。
ところが腎臓の病気はなかなか自覚症状が乏しいそう。
年齢的にも他人事ではなくなってきたので、腎不全治療の最前線を新書や各種の本を通して学んでみました。

なんとなく買った新書がとても良かった

なにごとも新規や未知の分野のことを知るには、その道の専門家の手になる啓蒙書を選ぶのが一番の近道です。
こんなときは学生時代から世話になってきた各種の新書のラインナップをチェックするようにしています。
そこで気になって手にとって買ってみたのが、岩波新書の「腎臓病の話」(椎貝達夫)でした。
著者は40年近く腎臓病治療の第一線で臨床の現場に立ち続ける専門医なので、患者さんの苦しさや人工透析の辛さなども、全くの医学には素人の人でも理解できるように配慮されています。
特に日本は世界的レベルでみても「透析大国」とも形容できるほどで、人工透析を余儀なくされている腎臓病患者が多いそうです。
これはあくまで本を読んでの想像でしかありませんが、その精神的経済的負担が相当なものになるはずです。
著者はそのような事態になるまで、なんとか病状の進行を食い止めるように腎機能の保存的治療に積極的に取り組んでいるとのことです。
腎臓病の厳しい現実を見た思いです。

ふと買った本にほど発見がある

ある著者の作品を気にいったら、別の作品に手を伸ばすのも読書の醍醐味の一つです。
同じ椎貝達夫氏による「透析無しの腎臓病治療」も後日購入してみました。
著者は腎臓病専門医として人工透析のメリット・デメリットに深い造詣を持ているので、出来る限り人工透析が必要な病期に進行を食い止めるために食事療法・血圧調整・塩分調整の3つを中核にした「取手方式」の治療を考案し豊富な治療実績を残しているようです。
ところで最近では腎臓病治療の最前線では、これまでとは異なったアプローチからの治療も実用の手前まで来ているとの事です。
これは近年の進展が著しい再生医療の技術を利用した方法で、腎機能そのものの機能回復をはかるという極めて野心的な方法です。
腎不全レベルまで機能が落ちると回復は見込めず、透析か腎臓移植かの選択肢しかありませんでした。
一度廃絶すれば機能回復は見込めない腎臓を細胞レベルで回復をはかるというのですから、将来的には透析も腎移植も不要になる時代の到来も期待出来るでしょう。

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